かさかさ、がさがさバナー

シナリオ名:かさかさ、がさがさ

※高校生専用シナリオ(探索者の過去でも可能)
人数:1人
推奨技能:なし
形式:クラスクローズド
時間:ボイセで5時間~
難易度:★★☆☆☆
その子には友達がいない、それはいじめを受けているから
ある日探索者はクラスの全員から彼女の『友達役』を任される。
※このシナリオはいじめと言うテーマを取り扱っております。

資料:NPC立ち絵
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【KP向け情報-真相】
現代日本-学年や季節は自由であるが、卒業を控えた三年の三学期の雰囲気が良いかもしれない。
このシナリオは一氏志代と友人である探索者が、何者かに記憶をいじられ彼女との記憶が書き換えられた後のシーンから始まる。探索者の記憶をいじった犯人はクラスの委員長に取り付いているシャッガイからの昆虫、シャンであり、そのシャンは催眠術でクラスメイトたちを操り一氏志代をいじめの標的とした。シャンは残酷な『いじめ』という『拷問』を一番近い場所で傍観出来る箱庭を作ったのだ。
シャンは記憶を書き換えられた探索者が状況に耐え切れず志代を攻撃しても面白いと思っているし、関わりたくないと志代を無視するのも面白いと思っている。シャンはこの耽美で歪んだ『異常さ』を楽しんでいる。
そしてシャンは一氏志代が人間とシャンとの混血児であるシャッガイだと知っている。シャンはシャッガイである志代を人間以下の下等の生き物のように思っており、この箱庭で起こるいじめの標的としたのだ。

KPが気を付けなくてはならないのが、探索者は記憶を曇らされているが志代は探索者と親しく話す事だ。しかし、志代の性格といじめられている立場から探索者にクラスメイトがいる前では自ら話しかけてはこない。探索者と自分が二人きりの時に彼女は親しく話してくれるのだ。
この事もあって、自分の知らない自分を知っている志代を探索者は不気味に感じるかもしれない。その不気味さもまたこのシナリオの狙いである。探索者がクラスに探りを入れてよくない事に気付いてしまったら正気度喪失を入れても良いだろう。

-時系列(探索者の記憶にはない部分)-
2週間以上前、芦田華蓮にシャンが寄生しクラスメイトに催眠術をかけ志代へのいじめが起きる。クラスメイト数人が催眠術によって操られ(中には催眠術にかかっていないにも関わらず)志代をいじめの標的とした。それを見かねた探索者が志代を庇い、それをきっかけに志代と探索者は仲良くなる。
志代と仲良く過ごす探索者を見て、シャンは探索者の記憶を曇らせた上で少しばかり記憶を書き換え、志代とはほぼ初対面の状況を作り出した。ここが導入場面となる。

【探索者の過去編として扱う場合】
探索者の年齢によって携帯などがまだ高校生まで普及していない場合などを考慮する事。
成長した技能は成長分をマイナスした上で判定を行う。
AFなどはまだ入手していないはずなのでステータスの変動なども初期のものとする。

【NPC情報】
●NPC1
一氏志代(16)ひとうじ しよ
職業-女子高生 性別-女
◎いじめの対象で物静かな女子生徒。
その正体はシャッガイであり、彼女はその事を知らない。
いじめられる理由が見付からない程に劣った部分や逸脱した部分はない。
本を読むのが好きでいわゆる本の虫。探索者とは二人きりになると親しげに話してくれる。
主にいる場所は図書室である。就職先が決まっており、本に関する仕事をする予定である。
STR:10  DEX:11  INT:14 アイデア:70
CON:7  APP:11  POW:6 幸 運:30
SIZ:11  SAN:30  EDU:11 知 識:55
H P:9  M P:6  ダメージボーナス:±0
技能:図書館:75% 芸術(速読):50%

●NPC2
芦田華蓮(16) あしだ かれん
職業-女子高生 性別-女
◎真面目でスポーツ万能容姿端麗のクラスの委員長。シナリオ開始時で彼女には既にシャンが寄生している。彼女に寄生したシャンはクラスメイトを催眠術で操り、一氏志代と探索者を追い込んでその様子を楽しんでいるのだ。シャンが寄生する前の彼女は正義感の強い生徒である。
シナリオのエンディングにてシャンは芦田華蓮の身体から抜け出し、彼女は死亡する。

【シナリオの主な流れと処理】
1日に朝・昼・放課後と行動ができる。
探索者は志代との『友達ごっこ』をしなくてはならない。
しなかった場合、クラスメイトから嫌がらせを受けSANチェックとなる。
志代は主に教室、人気のない女子トイレ、図書室に移動し、特別なイベントがない限りKPは志代を好きに行動させてよい。
探索者がクラス自体に違和感を覚え、探りを入れるなら<アイディア>などが良いだろう。このクラス自体がおかしいと言う事に徐々に気が付けるはずだ。

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1日目…志代との出会い
2日目…何もなし(1日目で探索者と志代が仲良くしているのなら省いても良い)
3日目…志代の夢の内容
4日目…休日
5日目…休日
6日目…志代が怪我をする/探索者が記憶を取り戻す
7日目…志代の失踪/志代は化物
8日目…志代の脱皮
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□1d10嫌がらせ表
主に志代に行われるが、探索者も被害に遭う場合もある。
どの嫌がらせも<0/1d4>の正気度を喪失する
1.物を隠される
2.物を壊させる
3.制服を汚させる
4.教科書を破かれる
5.陰口を叩かれる
6.無視される
7.暗い場所に閉じ込められる
8.弁当を捨てられる
9.虫の死骸を仕込まれる
10.遊びと称して暴力を振るわれる
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【導入-1日目-志代との出会い】水曜日
■朝
探索者は朝、目が覚め支度をする。朝食を食べ、鞄を持ち家から出る。自分のクラスへと入り、席へと付く。
自分の一つ席を挟んで隣の席には静かに読書をしている一氏 志代(ひとうじ しよ)という女子生徒が座っている。
一氏志代、彼女はいつからかわからないがずっとずっといじめられていた。ゴミを投げられ、私物を隠され、壊され、悪口を言われ、それでも彼女は文句一つ言わず、表情すら変えず、ただただその仕打ちを受けている、そう探索者は記憶している。その様子はどこか不気味にも感じるかも知れない。
一体彼女が何をしたのだろう…。そんな疑問を抱く探索者は自分の机の中に入れた覚えのない紙が入っている事に気が付いた。そこにはこう書かれている。

「あなたはいまから ひとうじ しよ のおともだちやく おりることはゆるされない」

全て直線の線で書かれた恐ろしい程に無機質な文字。
探索者がその紙を見ていると、一氏志代が立ち上がり、移動する気配がした。そしてクラスの扉付近で大きな音がし、そちらを向けば彼女、一氏志代が机と椅子と共に倒れていた。その周囲を数人のクラスメイトが囲っている。彼女の背中を付き押したであろうニヤニヤと笑うクラスメイトたちがこちらを見ている。その不気味な視線と手紙の内容に探索者は強い悪意を感じる事だろう。<0/1d3>の正気度を喪失する。
志代は誰の手も借りず立ち上がれば、倒れた椅子と机を直そうとするが、集団の一人が「私の机と椅子触られた~!消毒液持ってきて~!」と騒ぐ。その声にびくりと志代は一瞬動きを止めたが直ぐに机と椅子を直し、その場を立ち去る。
◆探索者が志代を追いたい場合は<アイディア>で志代が本を抱えていたのを思い出せる。

■昼
探索者は弁当箱を持ち教室から出て行く志代を見る。
志代は主に一人で昼食を食べている。それは人気のない女子トイレだ。志代は探索者に誘われない限りその個室でひっそりとこっそりと息を潜めて食べている。

■放課後
志代は一人で家路に着く。
◆<アイディア>に成功すると志代に家族はおらず、施設から高校に通っているらしい。

□施設の情報
<図書館>などで調べるのなら、至って普通の児童養護施設である事がわかる。
名前は向出ホーム(むかで)と良い、孤児などを預かる施設である。ホームページなどを見ていけば志代はそこで募金などの支援を受けながら高校に通っていると言う事がわかる。
探索者が向出ホームに行くと預けられている小学校低学年の子供たちに囲まれ「志代ねーちゃん!」と慕われる様子が見られる。そして理事長や小学生に声をかけてみると自分を知っているように接してくるのだ。
例えば理事長なら「また来てくれたんだね、ありがとう」や小学生らなら「またきたのかよ~!遊べよ~~!」と探索者の周囲に集まってくる。
この状況に探索者はひどく混乱するに違いない。何故この人たちは自分を知っているのだろう。<0/1d3>の正気度を喪失する。

KP情報:シャンに記憶をいじられているのはクラスメイトとクラスの担任、そして探索者のみであるため学校関係者以外の記憶はいじられていない。探索者が「志代とはいつ頃から仲良くしているか」と聞けば「2週間程前から」と答えてくれるだろう。

【2日目-いじめの標的】木曜日
■朝
その日も彼女は黙って登校してきた。この日は特に何もないが、志代へのいじめは相変わらずである。
そして探索者が志代と会話などをしていない場合探索者はクラスメイトたちから嫌がらせを受ける事となる。
探索者が何かを言ってもクラスメイトは笑ってすっとぼけたりするし、証拠を抑えたとしても誰かが庇うように口を挟んでくる。担任の教師に言ったとしても彼は「そんなはずはないだろ?うそをつくんじゃない」と探索者をたしなめる。

このクラスに探索者と志代の味方はいない事を知るだろう。<1/1d3>の正気度を喪失する。

■昼
志代は便所飯をするために教室から出て行く。
探索者が声をかけると淡白な対応ではあるが、「一緒に昼食を取ろう」と提案すると、場所を移動し一緒に食べてくれる。志代の弁当は野菜が多く、それをちびちびと食べている。

■放課後
志代は図書室でしばらく本を読んでから帰宅するのが日課である。
今日も図書室で本を読み、本を借りて帰路に着く。
探索者が一緒に帰宅を提案すると、少し嬉しそうに頷いてくれる。

【3日目-志代のみた夢】金曜日
■朝
志代はいつもどおり登校してくる。
志代は直ぐに図書室へと向かい、図書室にて学校司書と共に本の整理の手伝いをする事となっている。もしかすると教室から出る前に探索者に「本の整理をしに行くから手伝って欲しいの」と言うかもしれない。

本を整頓しながら彼女は、珍しく自分から「今日、すごい夢を見たの」と話を切り出す。
探索者がその話に乗れば「ザ・フライって映画…知ってる?」と前置きをする。
◆探索者は<知識>で判定する事が出来る。映画やSFが好きな探索者ならもちろん知っていても構わない。

「あのね、虫と人間が合わさったような、そんな生き物の夢を見たの。とっても不気味だったけれど不思議と嫌な感じはしなかったわ。彼らは私に手を差し伸べてきたの。まるで仲良くしましょうって言っているようだったの」と話す。
それを聞いていた司書は志代の夢の話を「いやあ~!そういう話苦手なの~!」と怖がる事だろう。
もちろん、図書室に常にいる司書も探索者と志代の関係を好ましく思っており「本当に仲がいいのね」と微笑ましく言葉を漏らすかもしれない。

KP情報:これは志代がシャッガイであるために見た夢だ。しかし志代はシャッガイとしての本能の芽生えが乏しいので、夢をみるのはこれっきりである。

□ザ・フライ
主人公が作った隣り合う2つのポッドの片方に収めた物体を細胞レベルで分解し、もう片方へ送った後に元の状態に再構築をする物質を転送させる装置、『テレポッド』を開発し、それに自分が入って使用した際にその中に一匹のハエが紛れ込み再構築にあたって、遺伝子レベルで主人公とハエが融合してしまうと言う話だ。主人公の姿が段々と変わっていく様はとても不気味なものである。

■昼
志代はいつも通り弁当を持って教室を出て行くが、その後を芦田華蓮と数人と女生徒がついて行く。
探索者がそれについていけば、たどり着くのは志代がいつも昼食を食べている女子トイレだ。様子を伺えば女生徒がホースで水を流し、志代の篭っている個室に向かい水を流し込んだ。
志代に「きゃっ」と言う声が聞こえ、その声を聞いた女生徒は可笑しそうに笑っている。水を流した状態で女生徒はトイレから出ていき、その後に濡れた制服を軽く絞った志代が出てくる。
志代は探索者の姿を確認すると「水かぶっちゃった」と困ったように微笑む。言葉を交わした後、志代はどこか穏やかに「心配してくれてありがとう、まるで…」と言った時、そこで話しを遮るように呼び鈴が鳴る。そして「あ、もう授業が始まるよ。次は移動だから先に行ってて」と志代は濡れた制服をどうにかするため保健室に行くようで、次の授業からは体操服で過ごす。

※このイベントは暗い場所(用具倉庫など)に閉じ込めたりするものに変えても良い。そして志代がいじめを受ける際にいつもそのグループには『芦田華蓮』がいると言う事を探索者に<アイディア>などで気付かせても良いだろう。

■放課後
その日は志代から途中まで一緒に帰らないかと言われ、一緒に帰るのであれば、その途中に志代に「休日、一緒に遊びに行かない?」と誘われる。二人は2日ある休日を好きに遊んで良い。土曜日だけでも良いし、土日と二日続けて遊んでも良い。志代は施設育ちのためお小遣いは少なめではあるが、遊園地くらいなら無理はない。
しかし、遊びに行く場所が決まらず、志代にどこに遊びに行きたいかと聞けば志代は「町の図書館」と答えるだろう。
約束をし、分かれ道で志代は「じゃあね、また連絡する」と行って施設への帰路に付く。

そしてその夜に探索者の携帯に志代からメールが入るのだ。探索者は志代とアドレスを交換した記憶は一切ない、しかし携帯電話には志代のアドレス、電話番号。そして頻繁と言うわけではないが、志代との他愛のないメールのやり取りが残っているのだ。身に覚えのない不気味な減少に<1/1d2>の正気度を喪失する。

KP情報:これはシャンは人の記憶を弄れても機械のデータまではいじることが出来ない為である。

【4日目】土曜日
休日。自由

【5日目-休日】日曜日
休日。自由。

【6日目-流れ出る血】月曜日
■朝
特に何もなし。だが休日探索者と出かけたのならその時の事を楽しそうに話してくれる。

■昼
探索者が少し目を話した隙に、志代の周囲に人集りが出来ている。その人集りはクラスメイトほぼ全員である事がわかるだろう。そしてその中にはニコニコと楽しそうに笑う芦田華蓮の姿もあるのだ。その異様な様子に囲まれた志代の顔が恐怖に染まっている。
そして一人の男子生徒が志代の腕を掴み、そのまま突き飛ばす。志代はバランスを崩し、鈍い音が辺りに響いた。志代が窓の縁に頭をぶつけたのだ。そのまま志代は力なく床へと倒れる。志代を追い込むようにクラスメイトたちが志代へと近付く。志代は床に倒れたまま動く気配がない事が人と人の隙間から見て取れるだろう。

探索者が志代を庇うように割って入るのなら、それをきっかけに記憶が一気に戻ってくる。
□探索者が志代とクラスメイトの間に入ると脳が激しく揺れる感覚がする。この光景に既視感がある。塞き止められていた記憶の波に抗うことなくそれを受け入れれば、一気に脳へと流れ込んでくる記憶は全て自分と志代が仲良く遊んでいた日々だった。二週間程前、探索者は前にも今と同じようにクラスメイトにいじめられていた志代を庇い、それがきっかけで志代と仲良くなった。今までずっと親しくしていたのに何故かそれを自分は今の今まで忘れていたのだ。まるでモヤがかかったように、まるで記憶を食べられたかのように、まるでいじられたように。
戸惑うあなたの背後で、志代が立ち上がる気配がする。それに探索者も気が付く事だろう。後ろを振り向けば、頭からどろりと流れるのは緑色の血液だった。その血液が床にポタリポタリと流れ落ち、その自分の体から流れ出る血液を見て志代は叫ぶ。それは初めて聞く志代の大声だった。そして志代はそのままクラスメイトを押し退け、教室を飛び出して行く。突然戻ってきた記憶と、志代から流れ出た血を目撃した事により探索者は<1/1d4>の正気度を喪失する。

■放課後
特になし、志代を探しにいってもどこにもいない。

【7日目-志代の正体】火曜日
■朝
その日志代が学校にくる事はない。

■昼 
探索者は突然、委員長の芦田華蓮から探索者に「ねえ、もし志代が化物だったらどうする?」と質問される。探索者がどう返事しようが、無視をしようが芦田委員長は得意げに話始めた。
「一氏志代はね、シャッガイなの。シャッガイって知ってる?強いて言うならば昆虫と人間の間の子なの。でも、そいつに特別な力なんてものはなく、そのうち一氏志代の身体は変化し醜い昆虫人間へと姿を変えるの。しかももうすぐよ、きっと。志代が醜い醜い虫の姿になってしまうのも時間の問題なの」芦田委員長はニタニタと笑いながら「ああ、化物だったらどうする?じゃなかった!一氏志代は正真正銘の化物よ、あなたも見たでしょう?あの緑の血!!……」「このいじめ、なくしたい?…だったら、私を殺す事ね」
彼女はそれだけいうと満足したのか、探索者の元から立ち去る。
探索者の耳に聞こえるのは耳障りな音だった。

かさかさ、がさがさ

■放課後
志代を探すのであれば、遠くに彼女の後ろ姿を見るが直ぐに見失ってしまう。
施設の方に行っても彼女はおらず、理事長や子供達も心配していることがわかる。

■夜
眠りに着く前、探索者の携帯にメールが入る。
それは志代からだ。メールの内容を見てみれば『明日の朝、廃墟になった図書館に来て欲しい』と書かれている。
◆<アイディア>や<知識>で探索者は場所と噂を知っている。数十年前に理由はわからないが閉鎖となった図書館である。町外れの森の奥にあり、噂では様々な本が寄贈されていたらしいが、怪物が出るとされ誰も寄り付かなくなってしまった。志代はそこにいると探索者に連絡をしてきたのだ。

【8日目-図書館へ】水曜日
町を出て森を抜け、探索者が志代が来て欲しいと言った場所へとやってくれば、そこには煉瓦造りの建物が佇んでいた。辺りは森に囲まれているためかしんと静まり返っている。何処か入れる場所がないかと探せば窓の鍵があいている事がわかり、そこから中に入る事が出来た。
足を踏み込み奥へと進んでいけば所々本棚が倒れているものの、内部はそのままの姿で残されてた。床にはボロボロになったハードカバーの本が積み重なっており、まだ薄暗い館内からはかさかさ、がさがさ…そんな音が聞こえたきがした。
そして志代の姿を探す探索者に、背後から弱々しく声がかかった。「来てくれたんだね」それは志代の声だ。
探索者が振り返ろうとすれば「待って!」と、振り向くことを止められてしまう。
「落ち着いて、聞いて欲しいの…私、…今人間の姿じゃないんだ。…ううん、多分これから人間に戻る事はないんだ。だって、人間の皮を脱ぎ捨てちゃったから。」
きしり、と何か硬いものが軋む音が聞こえる。

それでも探索者が彼女の姿を見るというのなら以下の描写を読み上げる。

◇シャッガイの描写
そこにいた志代は彼女の言ったとおり人間の姿ではなかった。眼は複眼で、探索者の顔を映し出している。鼻と耳はなく、唇と歯は吻針の付いた短い口吻になっている。四肢は多関節状になり、身体中が昆虫のような玉虫色の外骨格で覆われている。そしてなにより背中には硬く丈夫そうな昆虫の羽が生えていた。
表情は読むことが出来ない程に無機質なものになっていた。しかし、その複眼の目からは涙が流れていた。シャッガイを目撃した事により探索者は<0/1d8>の正気度を喪失する。
探索者が発狂した場合は恐怖のあまり彼女の姿に釘付けになってしまうが辛うじて会話は可能である。

【志代の選択-探索者の選択】
志代は言う「…私、化物なの、だからいじめられてたの、でも、私は化物だから、いじめられて当然だったの」「ありがとう…あなたと過ごした日々はとってもたのしかった、庇ってくれて、うれしかったよ…」表情はわからないが、志代は微笑んでいるのだろうと感じた。
「私、ずっとここにいるから…あなたが来なくても、ずっとずっとここで、たくさんの本に囲まれて、それを読んで待ってるから、…だから忘れないで、そして…思い出したらまた会いに来て、私とあなたしか知らない、この場所に」ボロボロと志代の目から涙が流れ、床に落ちていた本に染みていく。

探索者が今後、シャッガイである志代と会うかは自由だ。もし、探索者が志代に今後会わないとしても、志代はずっとこの場所で探索者を待ち続ける事だろう。

KP情報:探索者が今後一切志代と会わないと選択した場合はシャンによってクラスメイトたちと一緒に探索者も志代の記憶を曇らされてしまいます。以下の描写は今後を志代と会う事を選んだ場合のものです。会わないと選択していた場合は、芦田華蓮の事のみが気にかかる事でしょう。

■朝、または後日に探索者が登校してもクラスは相変わらずである。しかし、委員長である芦田華蓮の席が空いている事に気が付くであろう。そのことを生徒に聞いても首を傾げ「わからない」と答える。

過ごしているうちに探索者はある事に気が付く、誰ひとりとして志代のことを話していないのだ。クラスメイトが志代に行っていたこともあるが、どうしても引っかかってしまう。一氏志代の名前は名簿に残っているし、志代の席も残っている。クラスメイトの全員はまるで何事もなかったかのように過ごしている。それは教師もだ。
探索者はクラスメイトに志代の事を聞いてみるかもしれない。しかし誰に聞いても「転校したんだっけ」「いや、入院しているんだよ」「違うよ、引きこもってるらしいよ」とそれぞれバラバラの答えを言う。彼女の存在が、クラスの中でとても曖昧になっているのだ。
探索者がどんなに聞いても、彼女のことを言ってもしっかりと彼女を覚えている者はいない。ずっと昔から「存在していたのかすら曖昧な子」になっているのだ。
しかしあなたは志代を知っているし、覚えている。志代は今もあの図書館で古い本を読んでいる。彼女は確かにここに存在していた。
そして2日後、行方不明だった芦田華蓮が遺体で発見された。頭が大きく割れ、林の中に横たわっていたそうだ。これは事故として処理されたが、彼女の葬式にはクラスメイトの殆どが参列し、涙を流した。

残酷なまでに探索者の変わらない学校生活は続いていく。
廃墟となった図書館に訪れれば、そこには本を読みあさる志代がいる。
探索者を彼女は暖かく迎えてくれる。探索者と志代しか知らない、この場所で。

以下、処理別エンディング描写。

■探索者が高校生の場合
探索者はあの廃墟を訪れる。
そこには彼女、一氏志代がいた。彼女は天窓から差し込む光で本を読んでいる。あれからずっとずっとここで本を読んでいるのだろう。
彼女は顔を上げ、訪れたあなたを認識する。「いらっしゃい」と迎えてくれた表情はないが、微笑んでいるのだろうとわかった。そして志代はゆっくりと話し始める。「私、ずっとここで調べていたの、あの日、何があったのか」日の光が窓から流れ込み彼女は調べた事全てを話す。

あのいじめの本当の主犯格はシャンと呼ばれる生き物であった事、そのシャンは寄生した人間を操る事が出来ること。とても賢く、様々な呪文を扱う事。そしてあのいじめはシャンのただの娯楽で、私たちはそのコマになっていたのかもしれないこと。私はここに住み続けて、ずっとずっと調べてきた。シャンを追い出す方法は、その寄生した人物を殺すことだった。…もうあなたがあんな思いをしないように、もうこんな事が起きないように、ずっとずっと調べていたの。

そして志代は図書館にある本の中から見つけた呪文を探索者に教えてくれる。それはシャンに寄生された人間の中から、シャンを追い出す呪文だった。
志代はあなたを見送り、またここで本を読みあさる日々を送るのだろう。探索者が彼女とどう付き合っていくかは、探索者が決めるべきだろう。時々道を交えながらも、あなたたちはそれぞれの人生を歩まなければならないのだ。

探索者は《シャンを追い出す》の呪文を得る事ができる。

■探索者の過去編の場合
数年後、あなたはあの廃墟を訪れる。
そこには彼女、一氏志代がいた。あの時より少しサイズが大きくなり、天窓から差し込む光で本を読んでいる。あれからずっとずっとここで本を読んでいるのだろう。
彼女は顔を上げ、訪れたあなたに少し驚いた様子を見せそして「…久しぶり、大きくなった?」と近付いてくる。表情はないが、きっとあの時のように微笑んでいるのだろう。
そして志代はゆっくりと話し始める。「私、ずっとここで調べていたの、あの日、何があったのか」日の光が窓から流れ込み彼女は調べた事全てを話す。

あのいじめの本当の主犯格はシャンと呼ばれる生き物であった事、そのシャンは寄生した人間を操る事が出来ること。とても賢く、様々な呪文を扱う事。そしてあのいじめはシャンのただの娯楽で、私たちはそのコマになっていたのかもしれないこと。私はここに住み続けて、ずっとずっと調べてきた。シャンを追い出す方法は、その寄生した人物を殺すことだった。それができるだろうか、あの時の自分たちは、それ程無力だった。
…もうあなたがあんな思いをしないように、もうこんな事が起きないように、ずっとずっと調べていたの。

そして志代は図書館にある本の中から見つけた呪文を探索者に教えてくれる。それはシャンに寄生された人間の中から、シャンを追い出す呪文だった。
大人になったあなたとシャッガイである彼女はまた別れ、時々道を交えながらもそれぞれの人生を歩むのだ。

探索者は《シャンを追い出す》の呪文を得る事ができる。

■今後志代と会わないと選択した場合
探索者の変わらない学校生活は卒業まで続いていく。クラスの席は2つ空いたままだ。
卒業をし、探索者は荷物の整理をしていた。すると鞄や机、なんだっていい、そこから一枚のくしゃくしゃになった紙が出てきた。それを広げてみるならば、紙にはこう書かれている。
「あなたはいまから ひとうじ しよ のおともだちやく おりることはゆるされない」
…ひとうじ、とは誰だろう?そんな人、いただろうか?しかし、まるでいじめの一環のようなメッセージだ。きっと誰かのいたずらだったものに今の今まで気が付かなかったのだろう。あなたは紙を丸め、ゴミ箱に投げ捨てた。

かさかさ、がさがさ シナリオクリア


-報酬-
SAN回復 +2d6
▼今後も志代と会うと選択している場合。
神話技能 +1d3
その後も志代と会い続ける場合は、選択ルールによりシャッガイを目撃したことによるSAN減少は起こらない。その場合は初期SANを1d8減少させる。
《シャンを追い出す》(基本ルルブP259)の呪文

-シナリオ名の由来-
脳の中で虫が蠢くさま、シナリオ内で虫が蠢くさま
かさかさ がさがさ

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2017-01-21 : CoCシナリオ :
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