狗花バナー

シナリオ名:狗花

人数:3人
ハンドアウト:有り
推奨技能:<図書館><歴史><精神分析>
形式:シティ
難易度:★★☆☆☆
時間:ボイセで4時間~5時間

資料:NPC立ち絵など
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【初めに】
このシナリオは四国の某県に実在する犬神の呪いをテーマにしております。ほとんどが個人的な解釈であり、実際のものとは大きく異なる場合がございます。犬神憑きの家に対する差別的な表現も含まれておりますが、そういった差別を非難、擁護するつもりは一切ありません。あくまでフィクションとしてお楽しみください。

【HO説明】
HO1:あなたの実家は四国ある。四国のどの県かは自由に決めてもらって構いません。その実家から「とても大切な話があるので帰ってくるように」という手紙が届き、あなたは休暇をとって三日程実家へと帰る事となるでしょう。家族との関係は良好であり、両親はどちらも健在している事が条件です。(※血筋による特殊な設定がつくため新規推奨)
HO2:あなたは友人におHO1に誘われ、休暇をとって付き添いで四国に訪れる事となる。ちょっとしたお人好しかもしれません。
HO3:オカルトに詳しいあなたは、とある家の出来事について調べて欲しいと依頼を受ける事となります。条件としてはオカルトが好き・オカルト的事象を追わずにはいられない。また、<オカルト>と<母国語(日本語)>の技能が60以上でなくてはならない。

このHOはPLに公開する事。

【NPC紹介】
●NPC1
猫塚博史-ねこづかはくし 年齢:43歳
職業:オカルト作家 性別:男性
◎物腰柔らかく、ゆっくりと話す穏やかな人物。
STR:14  DEX:9  INT:13 アイデア:65
CON:8  APP:15  POW:14 幸 運:70
SIZ:11  SAN:70  EDU:16(+2) 知 識:90
H P:10  M P:14  ダメージボーナス:+1d4
技能:オカルト75% 歴史70% クトゥルフ神話4% 図書館75% 信用40% 説得70% 母国語:95%
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●NPC2
乾義和-いぬいよしかず 年齢:51歳
職業:宮司 性別:男性
◎芯が強くしっかりとした人物。
STR:14  DEX:12  INT:13 アイデア:65
CON:6  APP:9  POW:16 幸 運:80
SIZ:13  SAN:80  EDU:14 知 識:70
H P:10  M P:16  ダメージボーナス:+1d4
技能:オカルト70% 歴史75% クトゥルフ神話5% 聞き耳75% 芸術:盛塩60% 芸術:お祓い75% 説得75%
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●NPC3
鳥野耕太-とりのこうた 年齢:30歳
職業:祈祷師 性別:男性
◎ダウナーで卑屈気味、皮肉屋でもある。
STR:13  DEX:12  INT:13 アイデア:65
CON:12  APP:10  POW:17 幸 運:85
SIZ:11  SAN:60  EDU:14 知 識:70
H P:12  M P:17  ダメージボーナス:+1d4
技能:オカルト80% クトゥルフ神話12% 目星75% 隠れる50% 人類学60% 考古学30% 天文学30%
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●NPC4
狐子琴子-ここことこ 年齢:19歳
職業:巫女(バイト) 性別:女性
◎明るく元気で活発に動いてくれる。
STR:10  DEX:11  INT:12 アイデア:60
CON:15  APP:10  POW:8 幸 運:40
SIZ:9  SAN:40  EDU:12 知 識:60
H P:12  M P:8  ダメージボーナス:±0
技能:言いくるめ40% 図書館30% 心理学50% 精神分析45% ナビゲート60% 歴史40%
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▽以下よりシナリオとなる。

【導入シーン1】
・HO1用
ある日あなたの元に四国にある実家から速達で手紙が届きます。中を見てみれば手紙と一緒に航空チケットが二枚同封されていました。何故2枚なのだろうと思いながらも手紙に目を通してみるとそこにはあなたの父親の字でこのような事が書かれていました。(手紙の内容を送信)
あなたは少し不安に思いながらも仕度をして友人(HO2)を呼び、そして実家の四国へと帰る事となります。

-手紙の内容-
『(HO1)へ
お前の事でとても大切な話がある。我が家に伝わる事だ。
忙しいとは思うが、3日程時間をとって実家の方に顔を出して欲しい。
きっと一人で抱え切れる問題ではない、不安ならお前の友人も連れてきてもらって構わない。
 父・母より』

・HO2用
あなたは友人のHO1から少々訳ありの帰省の付き添いを頼まれます。

・HO3用-ボイセなら個別通話で先に行っても良い。
あなたは少し名の知れたオカルティストです。
そんなあなたの元にある日一本の電話が入ります。それは(HO1の苗字)家からのもので、依頼の内容は「家の『犬神の呪い』を調べ、出来るのならそれを断つ方法を探して欲しい」と言うものです。
無事に解決できれば報酬金も払われるとの事で、あなたは仕事か好奇心か三日程HO1の家へと訪れる事となるでしょう。
そして<オカルト>の技能が60%以上のあなたは事前情報として、あなたは『犬神』や『犬神憑き』について以下のことを知っています。

-犬神について1-
・犬神とは、狐憑きなどとともに西日本で最も広く分布する犬霊の憑き物である。
・発端は平安時代とされ動物を使った呪詛が非常に恐れられていた。
・主なものは犬を首から上だけ出して土に埋め、犬の前に餌は置くが決して与えない。犬が飢により怒り狂ったところで首を切り落とし、その首を御神体として使う。
・今でも犬神を恐れている地域は存在している。


※後にHO1の実家にてHO1とHO2と合流する事となります。

【導入シーン2】
HO1とHO2が空港に着く所から始まります。
実家は空港から車を数時間程走らせた場所にあり、一軒の平屋で庭には古い倉が建っている。HO1が実家に着くと玄関にてHO1の母親が迎えてくれます。
「おかえりなさい、お友達もよく来てくれましたね。急ぎの話だから悪いけど早速上がってもらえるかしら?」と少し慌てた様子で探索者を客間へと案内します。廊下を渡って襖を開ければ、十畳程の座敷にて漆塗りの座卓の前にHO1の父親と、見知らぬ人物(HO3)が座っている事がわかります。
父親はHO1とHO2を座らせて軽い挨拶をすると、「よく帰ってきてくれた。こちらの方はオカルトに詳しい方で今回お前を呼んだ事に関係しているのだが」と言ってHO3の自己紹介を促しします。
※ここで少しばかりPC同士の自己紹介を挟むといいでしょう。

□本題
PCの自己紹介が終われば、父親は一つ咳払いをしてから「…少し信じられない話になるかも知れないが、落ち着いて聞いて欲しい」と言って語り始める事でしょう。

-父親の話-
・自分たちの家系『犬神憑き』であり、犬神憑きは簡単に言えば呪われた家系である。
・『犬神憑き』とは『犬神』と呼ばれるものが憑いた家系の事。
・犬神と言うものは強力な呪いの力を持っており、昔から呪術や祈願に使われていた。
・現代では『犬神憑き』や『犬神の呪い』はただのオカルト話として扱われており、最近では話を聞くことは滅多にない。
・しかしこの間とある事件が起こった。親戚の家にて犬神憑きの男が一人で家族全員を食い殺したと言うものである。事情を知らない警察は彼を精神病院に入れたが、その時に彼は自分の声ではない声で、こういったらしい「次は(HO1の名前)だ…」と。
・それを聞いた時、妙な胸騒ぎがして急いでお前とオカルトに詳しい人を家に呼んだ事。
・家族を食い殺した男は数週間前から『突然吠える』『性格が凶暴になる』『水を極端に恐れる』『錯乱状態』などの、『犬鳴病』と呼ばれる症状が出ていたらしい。これが『犬神の呪い』とも呼ばれる事。
・なのでこの件が収まるまでは実家にいて欲しい。
・こんな話を急にして信じられないかもしれないと思う、先ずは自分の家系の事を知るために倉の方で色々と見てみるといい。

彼はそう言って探索者たちに倉の鍵を渡してくれます。話が済むとHO1の父親は少し遠い場所に住む親戚の家に行くためしばらく家を空ける事となります。

□探索
KP情報:一日目に訪れる事ができるのは【実家の倉】(【図書館】)【オカルト作家の家】【狗石神社】【資料館】となっています。【祈祷師の家】は二日目のイベントとなっているためKPは二日間を使い探索者たちをうまく誘導してください。

【実家の倉】
庭の隅に建っている倉でHO1は過去に何度か出入りしているかも知れません。その時の思い出の品がまだ倉に眠っている事でしょう。今ではほとんど倉庫としての扱いですが自分の家系の事を調べるには先ずここが一番だろうと感じます。倉の扉を開けば中は埃っぽく、うっすらと黴の臭いがします。古い木製の棚が並んでおりその中には様々な本やガラクタなど雑多に置かれています。

<目星>を行うと『家系図』と『和綴じの古い手記』を見付ける事ができます。

『家系図』
HO1の苗字が書かれた家系図です。
<歴史>のロールに成功すると昭和の初期に書かれ、昭和の後期に渡って綴られたものと言う事がわかります。(おおよそ1929~1978年頃まで)
家系図を見てみれば書かれた名前の幾つかに朱色の線が引かれている事がわかります。

『和綴じの古い手記』
開いてみればHO1の苗字と人名、それと共に文章が書かれている手記です。
家系図にて朱色の線が引かれた名前を探す場合は<図書館>のロールが行えます。
判定に成功した場合、朱色の線が引かれた名前の人物の部分には『犬鳴病』と記されており、全員が施設などに隔離された上、最後は衰弱または自死によって命を落としている事がわかります。
そして手記を読んでいた探索者の1人は最後にはこう記されている事に気が付きました。

-和綴じの古い手記の最後のページ-
「犬神の呪いからは逃れる事は出来ないのか。犬神の血筋は絶える事はないのか」

倉での探索が終了した所でKPは適当なロールを行わせ、『犬神』と言うタイトルの本がつい最近出版された事を思い出す事ができます。

【図書館】など
本について探すのなら図書館や書店が良いかも知れませんが、オカルト小説が好きな人物がPCにいた場合はその小説を読んで内容を覚えているかも知れません。そして現代では電子書籍などもありますので実家にいても内容を読んだりする事は十分可能でしょう。

□犬神について
『犬神』について調べると犬神の呪いを題材にした小説を見付ける事ができ、作者名は猫塚博史(ねこづかはくし)と書かれています。
小説や電子書籍で『犬神』を読んだ場合、以下の文章を読み上げるまたは開示してください。

-犬神-
その昔、犬神の呪いによって犬鳴病を患った若者がいた。その男は犬鳴病、もとい犬神の呪いを祓うためにその土地のあちこちへと足を運んだ。しかし、呪いを祓うその方法は一行に見付からない。それでも若者は諦めずにその方法を探し続けた。そしてふと、寄った神社の宮司に「おれは犬鳴病患者だ。この犬神の呪いを祓う方法を探している」と相談した。それを聞いた宮司は「私の神社は代々犬神を奉ってきた。しかしあなたの家系の呪いは随分と強力に感じる」と言う。若者は「そのようだ」と言い、何度か苦しそうに咳き込んだ。それを心配した宮司は「私に祓う事はできませんが犬神を慰め、神として奉り呪いの力を弱める事はできるかと思われます」と言う。その昔、この若者の先祖が犬神を生み出した行為に犬神が今も怒っているのであれば、その神の奉り怒りを鎮めようというのだ。しかし、その怒りを鎮めたとしても祓った事にはならない。犬神憑きの血筋は変わらず続いていく。若者は悩んだ末、宮司にお願いした。そして犬神の石碑の前で犬神を鎮める儀式を行い、犬神は鎮められた。若者は犬鳴病で死ぬ事はなくなったが、犬神の呪いと共に生きていく事となった。

□猫塚博史について<図書館>などで調べる事が出来ます。
彼はオカルト作家として有名であり、代表作は『谷底の友禅』『動物園』などその地域に伝わる怪奇話を長編・短編問わず作品にしています。最近発表した作品である『犬神』は半ノンフィクション小説として四国の地域に伝わる呪いを題材にしたものと発表されています。
彼はその地域に数年滞在し実際に作品内で『犬神の呪い』とされた『犬鳴病』を患った人物に取材を行ったそうです。猫塚氏はコメントで「実はもう一つのエンディングがあった」と語っている事がわかります。

□犬鳴病について調べる場合。
「突然吠える」「性格が凶暴になる」「水を極端に恐れる」「錯乱状態」などの症状にピンと来る探索者がいるかもしれません。<医学>や<精神分析>を持った探索者はロールを試みる事ができ、成功するのならこれらの症状が『狂犬病』の症状に酷似している事がわかります。

-狂犬病について-
狂犬病とは犬や蝙蝠を介して狂犬病ウィルスに感染した事により発症するウィルス性の感染症である。症状は、発熱、頭痛、患部の痙攣や痛み、精神錯乱や強い不安など精神障害が見られ、最終的には全身が痙攣を起こして昏睡状態に陥り死に至る。水などを恐れるようになる特徴的な症状があるため恐水病などと呼ばれることもある(実際は水だけに限らず、音や風も水と同様に感覚器に刺激を与えて痙攣等を起こす)。
1950年~狂犬病予防法が制定され、現代ではワクチンによる予防接種や野犬などを殺処分する事で1956年に発生はなくなっている。

『犬鳴病』は家系図を見ると1950年以降も数人発病している事がわかります。

【オカルト作家の家】
出版社などに連絡をとるなどして調べてみると猫塚博史はまだ四国に滞在しているようで、事情を話せば住所を教えてくれる事でしょう。探索者たちが猫塚博史の家へと訪れると手伝いらしき女性が迎えてくれ「いらっしゃいませ。先生は奥の部屋で待っておられます」と丁寧に案内されます。
※もしアポイントメント取っていなかったとしても事情を話せば快く通してくれる事でしょう。

客間にて猫塚博史と会う事が出来ます。彼は穏やかに微笑みゆっくりとした口調で探索者たちに挨拶をする事でしょう。「初めまして、猫塚博史と申します。さて、私に一体どんな御用ですかな?」

-猫塚博史の話-
■『犬神』について。
・「作品『犬神』は一番新しい作品であり、この地域に伝わる『犬神の呪い』を題材にしたものです」
・「小説の発表に乗じてこの地域の資料館でも少しだけだが『犬神』についての展示が行われているんですよ。そちらには行ってみましたか?」
■取材を行った人物について。
・「取材を行った『犬鳴病』の患者は既に亡くなっており、私も彼の葬式に参列させて頂きました」
・「取材を行った時はまだ症状が軽い時でしたが、時々犬のように唸り、吠えたりとしていました。それは発作のようなもので本人も大変困っていた様子でしたね」
・「彼は犬神を鎮めるという選択をしませんでした。…今となって理由はわかりません」
■犬神を鎮める儀式と神社について
・「儀式については実際にこの地域にある神社の宮司に話を聞いたので、きっと彼に話を聞いてもいいかもしれませんね」
■もう一つのエンディングについて。
・「最初は主人公の若者が犬神を祓って前向きに生きていくと言うエンディングを思い浮かべていました。しかし犬神というものを知れば知る程それは強力で呪いの力が強く私は感じました」
■祈祷師について
・「犬神の事をもっと知るためにとある祈祷師の方に取材を行ったとき、彼は犬神を祓う方法はなくはない…。と言った話し方だったのが気になりますね」
・「今でも犬神の呪いを行う人物であり、不思議な力を操るとも聞きましたよ」
・「必要なら彼の住んでいる場所を教えましょう。私の紹介と言えばきっと話をしてくれるはずですよ」

※猫塚博史は小説『犬神』の出来に満足はしていません。それは彼が描きたかったエンディングではない為です。調べれば調べる程、書けば書く程犬神の呪いに対し「方法があったとしても、祓う事はできないのでは」と感じ、今のエンディングとなった事を心の底で気にしています。
もし、後に探索者たちが犬神を祓うために協力して欲しいと仰ぐのであれば彼が描きたかったエンディングが見られる事に期待し、きっと力を貸してくれる事でしょう。

【資料館】
資料館ではこの地域に伝わる犬神についての展示を小規模ながらも行っています。展示コーナーでは犬神の説明と蒔絵が飾られており、そこには装束を纏った人間の絵が描かれているのですが、その頭は人のものではなく犬のものである事がわかります。ここでは犬神について更に詳しい情報を得ることが出来ます。

-犬神について2-
・犬神は、狐憑きなどとともに、西日本で最も広く分布する犬霊の憑き物。
・発端は平安時代とされ、動物を使った呪詛が非常に恐れられていた。
・主なものは犬を首から上だけ出して土に埋め、犬の前に餌は置くが決して与えない。犬が飢えで怒り狂ったところで首を切り落とし、その首を御神体として使う。
追加-(他にも飢餓状態にした犬の首を切り落とし、地面に埋め、その上を人々が歩くことによって犬の怨念を増加させそれを呪いに使うもの。数匹の犬を戦わせ、最後の残った一匹に魚を与えて首を切り落とすもの。切り落とした犬の首に沸いた蛆を乾燥させたもの、巫蟲(ふこ)と呼ばれそれを薬として売っていた。
(呪いの目的以外にも幸福祈願として同様の方法が使われていたようだ。)
・犬神に憑かれ易い人物・家系があると言われ『犬神憑き』や『犬神持ち』と呼ばれる。
・このような事から犬神は恐ろしい姿で描かれるが地域によっては動物の種類も違ってくるらしい。鼠や鼬として描かれる事もあるそうだ。
・犬神は喜怒哀楽の激しい情緒不安定の人間に憑きやすいとされる。
・憑かれたものは身体に痛みを訴え、犬のように吠えると言われている。
・憑かれた家系には呪詛を行った者がいたとされる。
・その血筋は絶える事なく、犬神憑きは生まれた子に引き継がれていくとも言われている。
・犬神の憑いた家は栄えるとも言われるが、家族を食い殺す場合もある。
・福の神ともされる一方で疫病神として扱われる事も少なくない。
・現代でも密かに語り継がれ、その血筋はどこかで絶えることなく存在している。


【狗石神社】
訪れてみれば参道を掃き掃除している男性が探索者たちににこやかに挨拶をしてくれる。<オカルト>や<歴史>の技能を振ってある探索者は彼の格好が宮司のものである事がわかるでしょう。彼の名前は乾義和(いぬいよしかず)と言い『犬神の呪い』について話を聞きたいと言えば応じてくれます。

-乾義和の話-
■犬神、犬神憑きについて。
・「先ず、言っておきましょう。お話のようにこの神社では犬神は奉ってはおりません」
・「犬神は式神や使い魔と言った類とされますが、怨念の力が非常に強く祓う事に苦労する事でしょう。一番大切なのは本人の気持ちです、明るく前向きな姿勢があれば気を病むような事はありません。しかし心には隙があるものです。その心の隙に這入ろうとする犬神の力を少しでも弱めるために私たちはいます」
・「残念ながら私に犬神を祓う事は出来ません。そしてあなたに憑いた犬神は余りにも力が強過ぎるように感じます」
・「話に書かれていたように、犬神を鎮める事はできます。決まった時に欠かさず塩と御神酒を捧げねばなりませんが」

■犬神の石碑・神社
乾義和との会話が終わると彼は儀式を行うと言う石碑のある場所に案内してくれる。
神社内には犬神の石碑があり、犬神を鎮めるための祭具の一つとしてここに設置されたと言います。
<歴史>や<アイデア>に成功するのなら40年程前のものとわかります。成功した探索者は更に家系に憑く犬神のものであるのに、40年は少し短いのでは?と感じる事でしょう。
そのことを乾義和に聞くのであれば「他の場所に最古の石碑があるらしいのですが、どこに行ったのやら。みんな知らないのです。しかし、犬神を鎮めるにはこの石碑でも十分ですよ。ここにあるのは最古の石碑から欠けたものですからね」と言います。
探索者たちが神社から帰ろうとすると「呪い、時には福を招く犬神と付き合っていくかは本人が決めることです。あなたの答えが決まった時私は協力しますよ」と優しく見送ってくれます。

KPへ:KPが今日の探索はこのくらいで良いと判断したならHO1の携帯に母親(または父親)からそろそろ夕食が出来るので帰るようにと言うメッセージが入ります。
探索から帰ってきた探索者たちを母親は料理で持て成してくれる事でしょう。食事や風呂に入る順番や寝る場所を決める為に少しばかり時間をとってください。探索者の性別が一致するのなら大部屋に布団を敷いて3人で眠るなどすれば1日目の終了のイベントがスムーズに行える事でしょう。

【1日目の終了・夜-強制イベント】
その夜はHO1にとって寝苦しい夜となります。
その寝苦しさに目を覚ましてふと窓の外を見ればそこに黒いモヤのようなものが揺らめいている事に気が付いた。そのモヤをよく見れば赤く光る丸が二つ付いている事がわかり、その鋭い眼光にあなたは直感することでしょう。あれは『犬神』であると。その異様な姿と、存在した犬神の姿を目撃したHO1は正気度を<1/1d4>喪失します。

月の光に照らされたモヤは不気味に揺らめいて霧散したかと思うと窓の隙間から室内へと侵入しHO1の体内へと入ってきました。抵抗する暇もなくHO1は犬神を取り込む事となるでしょう。
犬神の侵入した身体は熱く、HO1は低く唸り声をあげます。その様子にHO2もHO3も起きてくる事でしょう。
HO1の様子は犬のようにのたうち回り、低く獣のような唸り声を上げている事がわかります。この異様な光景を見た事により正気度を<1/1d3>喪失します。
この時、HO1には周りの声が届いていないものとします。

<精神分析>や<医学>を試みるとHO1は精神的なショックにより肉体に発作が出ているものの身体に異常はない事がわかります。
そしてHO1はしばらくすれば糸が切れたように意識を失ってしまい、それ以降は叩いたり揺すったりしても目を覚ます事はありません。病院に連れて行ったとしても、どこも異常はないと言われてしまいます。
翌朝になればHO1は目を覚ましますが朝食と一緒に出されたコップに入った水に対して少しばかりの違和感を覚えるようになります。これは犬神が直接取り憑いてHO1が『犬鳴病』になったためです。普段通りに行動が出来ますがいつ大きな発作が起こるかは誰にもわかりません。

【2日目の開始・消えぬ犬神憑きへの差別】
翌朝、探索者たちが朝食を済ませた頃<聞き耳>の成功で玄関のドアが叩かれる音が聞こえます。
来客かと思い玄関の方に行ってみるのなら一人の老人が訪れておりHO1の母親(または父親)と何か言い合っている様子が伺えます。この時<聞き耳>の判定に失敗していても老人の怒号がいやでも玄関から聞こえて来る事でしょう。
彼は「犬神に名を呼ばれた奴が帰ってきたと聞いたぞ!疫病神どもめ!さっさと町から出て行ってくれないか!」などとわめき散らしており、HO1の母親は「その事を話すために帰ってきてもらったのです、家の事ですしすみませんがお引き取り願えませんか?」と対応しているのがわかります。
犬神憑きを差別している人物たちは現代となっても少なからず存在しており、おそらくこの老人もその一人でしょう。幼い頃のHO1はよくわかっていませんでしたが確かに差別が存在していた事を思い出すでしょうし、もしかしたら昔にこの老人に何かを言われたかも知れません。

□ここでは老人を言い負かし、大人しく家に帰ってもらうのが良い。探索者は自由にRPしてくれて構いませんしKPはRPなどによって<説得>などのロールに補正をかけていっても良いでしょう。
老人を言い負かす事ができたら老人はバツが悪そうに「ふん、犬神憑きめ」と鼻を鳴らし帰って行きます。老人が帰った後、HO1の母親はホッと胸を撫で下ろし探索者に感謝の言葉を述べます。そしてHO1が気にしているようなら、この家に嫁にきた母親なら「この家にお嫁に来たこと、何も後悔してないのよ」と笑う事でしょう。

イベントが終われば2日目の探索が開始となります。

【祷師の家】
町外れにある今も『犬神の呪い』を行っていると言う祈祷師が住む場所。平屋建てで表札には『鳥野』と書かれている事がわかります。猫塚博史から連絡が行っている(または探索者が連絡をしていれば)探索者を家の中に招いてくれる事でしょう。
彼の態度はどことなく素っ気なく感じ、蝋燭の明かりのみで照らされた薄暗い応接間に探索者たちを招いて椅子に座らせると彼は改めて鳥野耕太(とりのこうた)と名乗り今回の要件を聞いてきます。

-鳥野耕太の話-
■犬神について
・「犬神はとても強力なものだが、自分たちはその力を借りて今まで生きてきた。うちは祈祷師の家系であり、今でもたまに相手を陥れようと犬神の呪いを頼りに訪れる人はいる。スポーツ選手、タレント、政治家、なんだって来る。わざわざ外国から来てくれた人もいたよ」
・「犬神は使い方次第ではなんだってできる。実質ぼくにも憑いている」
■祓う方法について
・「祓う方法?生み出す方法はいくらでも知っているけど…猫塚先生から聞いたのですね、まあ、なくはないんじゃないですか?」

応接間に対し<目星>を行うと薄暗い部屋の中に壁に飾られた絵が目に止まります。それは満月の浮かぶ夜空を背景に大きな岩が佇み、その下に一輪の赤い花が描かており、一見ただの絵にしか感じないが何故だか目を離す事ができないのです。特にHO1は妙に心が惹かれるようなそんな感覚まである事でしょう。
探索者たちがそれを見ていると鳥野耕太は「その絵気になりますか?」と言い、彼はこの絵について少し教えてくれます。
「この絵はね、”狗花(いぬばな)”を描いたものって聞いたな。狗花は犬神の呪いが行われた場所に咲くたった一輪の花で、強力な力が宿っているって言うんだ。煎じて飲めば薬に毒に、それを奉って祈れば力が増幅するって言うかな。…でも、最近は見ないらしいね。どこに行ったのやら。ぼくは興味ないけど、君たち困っているようだしぼくの書斎で調べて見るといいんじゃないかな」と言い、頃合をみて書斎へと案内してくれます。

【書斎】
応接間の隣にある部屋を開ければ筆記机と本棚と少しばかりのオカルトじみたグッズの並ぶ部屋です。ここが彼の書斎らしく、鳥野耕太は「汚さなかったらご自由に」と近くの椅子に腰を下ろします。

□HO1とHO2が<図書館>を行えば鳥野家について書かれた書物が見付かります。

-鳥野家について-
・鳥野家は代々犬神を生み出し、力を借りてきた一族である。
・鳥野家は犬神憑きであり、忌み嫌われる者たちである。
・犬神の力を借りて過去や未来を見ると言う事も可能である。
・犬神の力を操るためには幼い頃から修行し、しっかりと犬神の力を制御できなければならない。
・中には犬神の力のこもった“狗花”を食すものもいた。
・犬神の呪いは『犬神の祠』にて行う。
・その場に咲いた狗花は持ち帰り呪いの材料に使用する。


読んでみると狗花に関しての情報は僅かにしか記されていない事がわかります。
『犬神の祠』について鳥野耕太に聞くなら場所を教えてくれますが、最近は儀式を行う事が滅多になくなった為、新しい祠の位置くらいしか彼は知りません。

□HO3が<図書館>または<オカルト>などの技能に成功すると他の探索者とは違う書物が気になります。
手に取って中を見てみるのなら本は随分と古く、言葉使いや言い回しがとても難しく書かれておりオカルトに関する専門用語も多い書物である事がわかります。内容としては呪文や呪術の歴史や呪いが一体どういうものであるかと言う事が綴られているようです。
これを読んで解読、そして要約する為には<オカルト>と<母国語>の技能値が60%以上必要となります。

-呪いについて書かれた本-
呪術とは、原始宗教であるシャーマニズムとアニミズム、それぞれの観念や行為にともなう形式や儀式をさし、特別な道具や言葉を必要とする場合もある。古より人々は膨大な精神力を使い豊穣を願って神の招来を行い時として悪しき神を祓ったとされる。しかしその『神』と呼ばれるものを祓うにはそれ相応の、またそれを上回る力が必要とさる。そのため人々は生贄を捧げたり、強力な精神力を持った呪術師たちを頼ったのだ。
そして神から生まれ落ちたものは神と同じ力が宿るとされ、使用する人物の精神力を増大させる事も十分にありえる。しかしただの人間がその力を使った時、どうなるかはわからない。


探索者たちは狗花を手に入れる事ができれば、犬神に対抗する術となるのでは?と考えるかも知れません。
それに対して鳥野耕太は「もし、あなたたちが犬神を祓うと決めたらなら、ぼくはあなたたちに是非協力をしたい。答えが決まりましたらまた来てください」と言います。

※鳥野耕太は「猫塚先生が書けなかった、もう一つのエンディング」を見る事を望んでおり、探索者たちが犬神を祓うと言う決断をするのであればその方法を与えてくれる事でしょう。

【犬神の祠】
訪れてみれば岩が四角くくり抜かれており、その中に小さな祠があるのを見つける事が出来ます。
祠に対し<歴史>のロールを行い、成功するならこの祠も神社の石碑と同じくらい比較的新しいものだとわかり、更に<オカルト>のロールに成功するのならこの祠のある方角が風水的に良いとされる場所にあると言う事もわかります。

何も手がかりがないと探索者たちが周囲を見てみればいつの間にか祠のある通りを巫女姿の女性が掃き掃除しているのがわかります。
探索者が彼女に話かけてみるなら振り返った彼女はにっこりと笑い「こんにちは!私は狐子琴子(ここことこ)!」と元気よく名乗ってくれます。

-狐子琴子の話-
■祠について
・「これは由緒正しき歴史がある犬神さまを祀る祠ですよ~」
・「祠としての形を持ったのはここに来てかららしいですよ~」
■赤い花(狗花)について
・「赤い花ですか?秋になると彼岸花ならたっくさん咲きますよ~」
■祠が新しいと言う事について
・「ああ~、そういえば…場所が悪いとかで移動したとか…」
■この祠は前にどこにあったのか
・「確か、おじいちゃんの話によると…大きく小高い山の麓にあったとか…」

□狐子琴子の家は犬神の祠の管理を任されている家らしく、探索者たちが「昔に犬神の祠があった位置」を聞くことをきっかけに思い出してくれます。
彼女は自分のスマートフォンのカメラロールの中にこの地域の古い地図を保存しており、探索者たちに『最古の犬神の祠』の位置を指差して教えてくれる事でしょう。
スマートフォンの地図アプリなどを使って古い地図と新しい地図を照らし合わせてみるなら、昔に犬神の祠があった位置が現在の『保健所』である事がわかります。

【保健所】
訪れてみればコンクリート製の建物の入口には町の名前に続いて『保健所』と書かれています。
建物の中には入る必要はありませんが、保健所の職員に聞けば裏手の方に何かの石碑があると言う事を教えてくれる事でしょう。しかしそれに関して詳しく聞いてみても「石碑と言われているがどっからどう見てもただの岩なんですけどね」と言われます。

【犬神の石碑】
保健所の裏に回ればそこには巨大な岩が佇んでいました。忘れ去られたように苔むしたその岩に対し、探索者たちは何か異様なものを感じる事でしょう。
そしてHO1は突然奇妙な感覚に襲われます。空間が歪んで全身の血が抜けるような、そんなひどい目眩に襲われるのです。少しすれば楽になりますがここにあるただならぬ感覚に嫌な予感がする事でしょう。

□周囲を見渡してみると石碑の下に蕾をつけた花が咲いている事に気が付きます。
<博物学>や<生物学>にて調べてみると花弁は赤だと言う事はわかりますが葉の形や蕾の形などを見てもこの花が探索者の知識にない花だと言う事がわかります。

□触れてみるのなら殺気のような感覚が身体を突き抜けていきます。恨みや妬み、飢えといったそんな感情がこの花には込められているとそう感じる事でしょう。花に触れたものは正気度を<0/1>喪失する。
花は未だ蕾の状態で開花はしておらず<アイデア>などでこの花は夜に咲いていた事を思い出せます。

KP情報:狗花は開花したものではなく意味を成しません、探索者が蕾の状態で摘もうとするのならKPはそれは賢明ではないと伝えてください。

□石碑に対して<目星>などで調べてみるなら、何か文字が刻まれている事がわかります。

そこにはただ一言『狗岩』と刻まれていました。その文字を認識した瞬間ぴしりぴしりと音を立てて石碑に亀裂が入っていく。その亀裂は何かを象るかのようにどんどん広がっていき、地面にバラバラと岩の破片が散らばった。そしてそこに現れたのは大きく裂けた口に鋭い牙が並んだ犬のような生き物の石像だった。そしてその姿を見てあなたたちはこれが犬神を象っているものだと気が付く。太い脚を地にしっかりと着け、あなたたちの前に堂々と立ちはだかる巨大な怨念の塊だ。…しかしそれはただの石像で動く事はありません。しかし、こうして形として現れた事に探索者は何か嫌な胸騒ぎを感じる事でしょう。

この異様な現象に正気度を<1/1d3>喪失する。

□鳥野耕太に連絡を取るのなら以下の事を教えてくれます。
・狗花が花を咲かせるのはきっと今夜である。
・しかし犬神の石像がある限り、摘みに行くのなら何があるかわからない。
・ただの岩が犬神の形になったと言う事は、その神がいつでも姿を持てると言う事だ。
・犬神を祓う場合は数人の協力が必要となる。

【探索者たちの選択】
言ってしまえばこの問題はHO1の家系のものでしかありません。しかしこの二日を通してPCたちの関係は強くなっているものかと思われます。鳥野耕太も言っていたように犬神は決して一人で祓う事は出来ません。数人、最低二人以上の協力が必要となります。
ここはRPをメインに進め、KPは意見がまとまるまで見守るのが良いでしょう。
PCが一丸となって犬神を祓うと言う選択が行えた場合【犬神の呪い】のイベントへと移動します。

【犬神の呪い】
※探索者たちが「犬神を祓う」と言う選択をした場合のみのイベントです。
探索者たちが鳥野耕太の家に再び訪れ「犬神を祓う」と確り宣言すれば、彼はどこかホッとしたように「君たちに必要なのは犬神に対抗する術(じゅつ)だ」と言って二つの巻物を探索者に見せてくれます。
その巻物には《犬神の呪い》と《災いを祓う》と言う呪文について詳しく書かれていました。

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◆HO1への呪文
<犬神の呪い>
コスト:POW20とSAN値-1d6を使用し3Rの詠唱を必要とする。
効果:膨大な精神力を消耗させ、非常に強力な怨念のエネルギーを操る事が出来る。例えばその呪いを一つの家系にかけるならば子々孫々まで祟られる事だろう。そして呪いを打ち負かす事も可能であろう。

◆HO2・3への呪文
<災いを祓う>
コスト:任意のMPを使用する。
効果:かけられる災いを祓う事が出来る。祓うには相手の使用MPとこちらの使用MPを対抗させ打ち勝たなければならない。
MPは複数人で出し合うことが出来る。
そしてこの呪文を応用して障壁を作る事も可能である。結界のようなもので自分たちの正面に現れ災いに込められた力(MP)を少しばかり打ち消す事が出来る。MPを4消費し、短い詠唱で2ポイントの障壁を作る事が出来る。※この呪文は重複する事ができない。
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□そして一番MPの低い探索者には鳥野耕太から「お守り」と言われ、彼が身につけていた模様の刻まれた赤い腕輪を渡されます。これはお助けアイテムであり、彼の力(MP)が付与されています。
○アイテムデータ
祈祷師の腕輪【AF】
赤地に黒い模様の刻まれた腕輪、MPが10ポイント込められている。
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□狗花
夜空には丸い白銀の月が浮かんでいる。
あなたたちは全員で保健所の裏へと足を運ぶ事だろう。佇む犬神の像は月の光を浴びてその石の身体をうっすらと輝かせていた。そしてその足元には血のように赤い六枚の花弁を開かせ、目玉のような模様の葯を持った花が一輪咲いていた。形は百合の花によく似ているが、あの可憐な印象とは全く異なる雰囲気を漂わせており、それは禍々しく、妖しくも美しい。その不気味な花は風も吹いていないのにあなたたちの訪れを歓迎するかのようにゆらりと揺れた。
闇の中に赤が揺れるその様子は人間の怨みや妬みそのもののようだ。これが『狗花』であるとあなたたちは直感した。

□犬神の登場
HO1がその花を摘み取った時、または誰かから受け取った時にそれは起こる。
突如として辺りに地響きが起こりあなたたちはバランスを保てなくなる。そしてHO1の身体が熱く熱を持ったかと思えば、悪しきものが抜けていく感覚がした。その抜けたものが向かった先は、石像の場所であった。
魂が乗り移るようにそれは石像へと入り込み、石製の目がぎらりと赤く輝いた。逆立つ白い毛並みを持ち、大きく裂けた口からは鋭い牙が覗いている。その姿は犬のようでもあるが鼠や鼬、様々な動物が混ざっているようにも見える。いくつもの悪意や欲望と言った不確かな怨念の存在、月に向かい咆哮するその威圧感は立っているのもままならない程である。古より行われて来た呪術の力がこれほどまでに禍々しいものとは。
それが『犬神』としてあなたたちの目の前に立ちはだかった。正気度を<1d4/1d10>喪失する。

□狗花の力
HO1は『狗花』の力に見初められる事となります。
HO1が手に違和感を覚え、そちらを見てみると花が手の甲に寄生するかのように根を張っているのがわかります。正気度を1減少させ、POWに+20する事。
それを見た犬神は鈍く輝く牙を見せ、「我が力を借りて我に逆らうか、面白い。小癪な貴様らを子々孫々まで呪ってくれるわ」月に向かい咆哮をした。

【犬神との対決】
いよいよ犬神との対決となります。犬神との対決は通常の戦闘ラウンド処理となりDEX順で行動しますが、戦い方が少々特殊となるためKPはPLに確りと処理について伝えてください。
簡単に言うならトランプゲームのハイ&ローみたいなものです。探索者たちのMPの中でどれだけ賭けをするかが重要となってきます。

■戦闘について

□《犬神の呪い》の詠唱について
・HO1は自分のラウンドとなった時に唱え始める事が出来る。
・POW20とSAN値-1d6のコストを払い(発狂ロールは発生しない)詠唱を始める。
・この呪文は非常に複雑な言葉の羅列の為、唱え始めと同時にHO1は無防備となりMPを貸す事や、<回避>なども行う事ができない。呪文を唱え始めた所から1Rとする。
・ラウンドが巡るごとにHO1の周りには鬼火が集まり、妖しく炎を揺らしていく。
・1ラウンド目のみHO1はMPを貸す事に限り《災いを祓う》呪文に参加する事ができる。
・※この時『犬神の呪い』を行う為のMP(POW)を失念しないように。

□《災いを祓う》について
・犬神の攻撃の時にKPはシークレットで2d3を振り、災いに込められたMPを決める。(最大値は6で最低値は2となる)
・PLたちはシークレットダイスの数値を予想し、《災いを祓う》に込めるMPを決める。
・提出するMPが決まった後、KPはシークレットで振ったダイス目を公開し、その値同士を対抗ロールさせる。
・PL側が打ち勝った場合、災いの炎は渦を巻くようにして掻き消え、PCたちに危害が及ぶ事はない。
・しかし失敗した場合はPC全員に災いが降りかかり、SAN値が1d6喪失される。
・5ポイント以上正気度が減った場合は通常通りアイデアロールを行う。
・HO1に災いが振りかかった場合、HO1はPOW×5のロールを行い、詠唱が途切れなかったかを判定する。
・HO1が詠唱を途切れてしまった場合はまた初めからとなる。
・障壁はHO2・3のみが使え、自分の手番に唱え直ぐに張る事ができる。
・障壁を作った場合、災いに込められたMPが2だった場合は0にはならず1となる。
・00は失敗となる。
・これを繰り返し、3R目に詠唱を途切れさせる事なく続けてHO1の手番になったときに《犬神の呪い》は完成する。

KPへ:犬神の災いは黒い炎となって探索者たちに降り注ぎます。災いの炎をどう描写するかによってPLたちにシークレットダイスの数値のヒントとするのもいいかも知れません。

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●敵NPC
犬神-いぬがみ
STR:47  DEX:22 INT:20
CON:45  POW:30 SIZ:35
H P:40  M P:30  ダメージボーナス:+4D6
攻撃 《災い》100%:標的全員に災いを振り撒く、2d3のMPを使用する。災いを受けたものは1d6の正気度を失う。
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KPは結末の条件にあわせ描写をしてください。

【END-A描写】
●END-A
条件:犬神の呪いを打ち倒す。

HO1の手に寄生した花から赤い炎が生まれる。その炎は膨張して行き、大きな狗の形に変形していく。その姿こそを『狗花』と呼ぶべきだろうか、狗花は巨大な口を開くと燃え盛り歪む牙で犬神の首に噛み付いた。炎に照らされた夕闇色の空へと黒煙が舞い上がり、犬神の咆哮が響く。首根っこを噛み付かれた犬神が抵抗とばかりに鋭い爪のはえる前足で狗花を引き裂いた。しかし炎と言う曖昧な存在は引き裂かれようとも再び集結し形を生み出す。そして狗花の牙が犬神の首を完全に噛み砕いた。
ぶちりと肉のような岩のような、そんなものが千切れる鈍い音が辺りに響き、犬神の首が地面へと音を立てて落ちる。燃え移った狗花の炎が犬神を燃やし、掻き消えていく。そして全ての炎が消えた頃、そこには犬神も、犬神の石像も、赤い炎も狗花も、黒い炎もなくなっていた。
辺りには探索者と、静寂だけが残っていた。

□HO1、全体用
犬神を打倒し探索者たちが家へと帰れば疲労で眠ってしまう。
翌日あなたたちが目を覚ますのは昼を過ぎた頃で、探索者たちが起きてくると玄関が開きHO1の父親が帰ってくる。そして驚いたような様子で「親戚の犬鳴病が急に治ったんだ、どうしたっていうんだろう」と言う。
それを聞いてあなたたちは安堵する事だろう、犬神の呪いは自分たちだけではなく、大きな範囲で祓われたのだ。
HO1の腕には狗花が寄生した位置に花と炎を象ったような小さな痣が残っているが、家族や親戚は『犬神の呪い』、そして『犬神憑き』から開放された事を大いに喜んだ。

□HO2用
あなたは友人の呪いが祓われた事を喜び、親戚から振舞われる食事を共にする。友人の故郷で目撃した様々な光景はきっと忘れる事はないだろう。あなたの不思議な休日は終わり、また元の日常がやってくるのだ。

□HO3用
あなたは犬神憑きの秘密を知り、それを祓う事に貢献した。HO1の家族から謝礼金を受け取り感謝される。そしてオカルト好きのあなたはまた新たなオカルトを求め日常へと戻っていくのだ。

-報酬-
HO1…SAN値+2d6 、HO1の腕に狗花の加護の痣<POW+1>
HO2…SAN値+2d6、<人類学><歴史>に+1d10
HO3…SAN値+2d6、<オカルト><歴史>に+1d10、謝礼金30万円
全員…クトゥルフ神話技能に+3%、<オカルト>の技能に+1d10(報酬は重複する)

●END-B
条件:犬神の呪いと共に生きていく事を決め、神社で犬神を鎮める儀式を行う。

HO1は犬神の呪いと共に生きていく事を決める。
神社へと赴けば宮司が優しく迎えてくれた。そして犬神の呪いは強力だと言う事でHO2と3もお祓いを受けるようにと言われる。あの石碑の前で儀式が行われ、あなたたちは犬神に祈るように言われた。
そしてこれからHO1は決められた日に塩や酒を犬神に捧げなければならない。儀式を受けて家へと帰るあなたたち、家へと帰るとHO1の父親が帰ってきていた。そして「帰ったのか、親戚のやつも犬鳴病だって…」と言う。そこでHO1は自分の発作がなくなっている事に気が付くだろう。これでいい、そう言い聞かせるかもしれない。

-報酬-
HO1…SAN値+1d4
HO2…SAN値+1d4
HO3…SAN値+1d4、<オカルト>に成長ロール
それぞれクトゥルフ神話技能に+2%

●END-C
条件:犬神を祓う事もなく鎮める事もなく生きる。

HO1は憑いた犬神をそのままに日常を過ごしていく。時々発作は出るがそれ以上悪化する様子はなかった。父親から聞けば親戚も犬鳴病を患ったようだ。
そしてある日、HO1は仕事や人間関係で他人を怨んでしまう。それはとても些細な事だった。言ってしまうならイラっとした程度、それだけだった。しかしその数時間後、あなたの怨みを買った人物が屋上から飛び降りて、死んだ。これを偶然と思うかはあなた次第である。

-報酬-
HO1…SAN値-1d6、以後犬神を祓う事も鎮める事もできず生きる事となる。
HO2…SAN値+1d4
HO3…SAN値+1d4
それぞれクトゥルフ神話技能に+1%

●END-D
条件:MPが尽き犬神の災いを受ける。

力尽きたあなたたちに犬神が嗤う「愚かな人間ども、我が怨み、呪いに勝てると思ったか?」HO1の腕に寄生していた狗花が黒く色を変えて枯れていくのがわかる。そして犬神はその大きな口でHO1の腕ごと狗花を食してしまった。腕を飲み込んだ犬神は「これで二度と我に歯向かう事も出来まい、一生犬神憑きとして生きるがよい」と嘲笑い、遠吠えをした。それは町を、大地を、空を震わした。その声は衝撃波のように身体を突き抜け、探索者たちが気つくとそこに犬神はおらず砕け散った岩だけが残っていた。しかし、HO1の腕はなく、HO2も3も精神力を使い果たしその場に倒れ込んでしまう。誰かの助けが来るのを待つしかなかった。…もしかしたら死んでしまうかもしれない。そんな恐怖さえあった。全員正気度を-1d6する事。
気が付けば病院のベッドの上だ。あなたたち3人は何があったのかうまく思い出すことができない。しかし、腕が無いこと、そして負っている怪我を見てあなたたちは『犬神の呪い』を感じる事だろう。

-報酬なし-
HO1は隻腕となる。
HO2、3はPOWを1永久喪失する。

-背景とあらすじ-
犬神の正体はミゼーアの化身です。
そのミゼーアの化身を生み出し、力を借りるには犬や他の動物を使い儀式を行う必要がありました。そしてその儀式にて生まれたミゼーアの化身は『犬神』と呼ばれ、その儀式が活発であった四国の地域にて奉られ、そして恐れられてきました。
そして犬神を生み出してその力を利用した者たちの家系は『犬神憑き』として現代までひっそりと繁栄をしてきたのです。HO1もその『犬神憑き』の一人であり、親戚の男性が犬神の声で名指しした事をきっかけに四国へと呼び戻され事実を告げられる。果たして探索者たちは犬神を打ち負かして呪いを祓い、無事日常へと戻る事が出来るのでしょうか。

ミゼーア:ティンダロスの大君主-外なる神
参考:マレウス・モンストロルムP247

-補足メモ(困った時にお使いください)-
・HO1の家系について:犬神憑きは父方のものでも母方のものでも構いません。母方の場合は苗字が探索者の旧姓になり、家に残るのも父親になります。※犬神憑きは犬神憑きと結婚するなどの話もありますが今回はなしで。
・狂犬病について:『犬鳴病』の症状を類似しているという医学的情報によりオカルト的要素を薄め1日目夜のイベントの効果を強くしています。
・猫塚博史の他作品について:谷底の友禅は花魁淵について、動物園は某公園の話について書かれています。
・NPCの関係について:鳥野は猫塚のファンであり、取材を通して交流があります。
・狐子琴子について:彼女は探索者の前に現れた狐です。
・鳥野の腕輪について:彼はもう「あげたもの」としているので渡されたPCは貰ってくれて構いません。MPが尽きている場合はAFとしての効果はありませんが、MPが残っている場合はKPに判断を委ねます。探索者のおしゃれにどうぞ。
・保健所について:犬が殺されて生まれる神の石碑が定期的に犬が殺される場所にあるというブラックな話。
・石碑や狗岩、祠について:神社の石碑は保健所の狗岩から分かれたもので、祠は犬神に詳しい誰かが保健所の裏はまずいと場所を移動させたものです。しかし、どうやら犬神の呪いの力はまだ保健所の方に残っていたようです。
・犬神が祓われた事について:HO1の家系と鳥野耕太の家系は違うので、鳥野が犬神憑きでなくなる事はありません。
・シャーマニズムについて:神霊や祖先の霊などとシャーマン(=巫女)を仲立ちとして心を通わせるもの。
・アニミズムについて:自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという信仰。

-参考資料-
・映画『貞子 vs 伽椰子』
「呪いには呪いをぶつけんだよ」

-コメント-
和風シナリオを目標に書きました。
余談ですが、製作者の夢が元ネタとなっています。
 
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2017-04-06 : CoCシナリオ :
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